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労働組合って何?

労働組合って何?

労働組合とは労働者ならだれでも加入できる団体です。正規職員・パートなどの雇用形態は関係ありません。

労働基準法では「労使関係は対等」とされていますが、雇用される側の労働者は、一人一人では雇用する使用者に対して常に弱い立場にあります。そこで、職場ごとにバラバラではなく、一緒に力を合わせて交渉などを進めるために労働組合を作ったのです。

労働条件の維持・改善とはどんなこと?

みなさん少し考えてみて下さい。もし、労働者の労働条件(賃金、休日など)が使用者(雇用者)の意のままに決められていたらどうなるでしょう。労働者は賃金を上げてもらうため、苛酷な労働を進んで行い(今は過労死が社会問題になっていますが)過労死なんて日常茶飯事というような状況になります。さらには、使用者に気に入られるために平気で他の労働者の足を引っ張り、自分さえ良ければというようになります。それが嫌な人は、低賃金でも文句も言わず働き、何かあった時には、即クビ。結果的に、全体の賃金が低く押さえられ、劣悪な労働環境に押さえ込まれ、自分だけ少し良い条件にありついたとしても、疑心暗鬼に満ちた、ギスギスとした人間関係の職場で働くことになります

現実には「そんなことはないよ」と言われそうですが、それは、現在は労働組合に組織された組織労働者が一定の割合で存在し、労働者保護のための法律整備の取り組みや、賃金、労働条件の一定の社会的水準を形成しているからです。労働組合のない企業の労働者の労働条件は、労働組合のある企業の労働条件よりも低い傾向にあるのは確かなことです。

だから労働組合?

労働組合は、労働者同士が信頼し合い、不必要な競争を排して、すべての労働者の賃金、労働条件の確保をはかっていくための、労働者の連帯の組織です。「みんなが一人のために、一人はみんなのために」これが労働組合運動の基本です。

労働者一人一人の力は弱く、いくら頑張ってみてもしょうがない面も、労働者がまとまって一つになった時はすごい力になります。その力を背景にして、賃金、労働条件を良くしていくのが労働組合です。

今後の労働組合は?

賃金・労働条件を良くするといっても「豊か」といわれる社会で育ち、特に不自由な生活はしていないと考えている人の中には、賃金・労働条件改善だけの取り組みをやっている労働組合は魅力のない組織だと言う人もいるかもしれません。

そのため、労働組合もさまざまな取り組みを行っています。例えば、生命共済(保険)・自動車共済(保険)など自主的な福祉事業や、また組合員間の交流の場としてスポーツ大会やレクリエーション活動を開催することなどもその取り組みの一つと言えます。

社会が大きく変わったのに、労働組合が変わっていないという声もあります。労働組合は社会の変化を敏感に捕らえ、その変化に応じた方針や運動形態を取る必要があります。

労働組合も、さまざまな考え方や意見を取り入れながら、真に必要とされる労働組合を作る為に努力しています。それには、皆さんの力が必要です。

組合に入らないとどんなデメリットがあるの?

労働者一人一人の力は弱いものです。一人一人では弱くとも労働組合の基に団結することで強い力を発揮します。その団結の力を背景に、使用者と対等の立場で、交渉を行います。労働組合に入らないということは、例えば、不当な転勤、昇給差別などの不利益扱いがあったときにも、一人で弱い立場でたたかうことになります。労働組合に加入している場合は「一人は万人のために、万人は一人のために」の精神で組織をあげて、医療事故での個人責任にならないように取り組みを進めます。

労働組合の存在は使用者に対して影響力を持っています。また、労働組合の取り組みにより労働条件が改善された場合、組合に入っていない人も何らか恩恵を受けることになります。そのことからも、労働組合の中で一緒に取り組むという気持ちが大切だといえます。

給料の額は何を基準に決まっているの?

賃金(給料)は労働力の再生生産費であるといわれていますが、決定的な基準はありません。基本的には労使の力関係で決ります。力関係の大きな要素としては、労働組合の力と労働力の需給関係があります。具体的には、組合員が生活の維持・向上を求める気持ちとそれを背景とした労働組合の取り組み、使用者が新たな労働者を必要としているかどうか(景気の状況)との相関関係によっています。

同期で、同じ年だと給料の支給額は同じ?

公務員の場合、初任給は採用される職種によって給料表が決まり、次に職務の内容と資格によって級が決まり、さらに採用前の経験年数によって号給が決まります。このように一定の基準があるため、その後の昇給が普通に行われれば、同期で、同じ年だと給料の支給額が同じになるというのが基本ですが、給料が上がっていく基準は、自治体によって異なります。同じ年に公務員になって、同じ経験年数を経ても、給料の額が違ってきます。

しかし、この普通昇給も普通は1年経てば昇給するのですが、一般職の職員の給与に関する法律によれば、「予算の範囲内」で「良好な成績で勤務」という条件がつけられ、しかも「昇給させることができる」とされています。言い換えれば「昇給させないこともできる」訳であり、使用者の裁量(評価)によって変えることもでき、同期で同じ年でも給料の支給額が違う場合もあります。これらの裁量(納得いかない評価)によって変えられる事を解消していくのも労働組合の取り組みの一つです。

労働組合のある団体と、ない団体の違いは?

労働組合のあるところとないところの大きな違いは、賃金・労働条件の水準です。また、一方だけの考え方がまかりとおるような職場には民主主義や人権という考え方は存在できません(例えば人事異動や昇給・昇格など)。使用者と労働組合がそれぞれの立場から異なる考え方を主張して、交渉や話し合いで一定の妥協点を見出し様々な事柄を決定できるような職場である必要があります。

労働組合に入っていない人もいますが、それでいいの?

労働組合の直接的な役割は、組合員の賃金・労働条件の向上にあります。しかし、労働組合は働く人たちの社会的地位の向上のためにも責任を持つ必要があります。こうした意味から組合に加入していない人たちにも、労働組合が勝ち取った権利などが反映されます。組合に未加入の人たちにはそれをわかる必要もあります。

組合推薦の議員って必要なの?

私たちの賃金・労働条件、生活環境の問題は、単に個々の労働組合の力や取り組みだけでは解決できないものもあります。

例えば、公務員の賃金労働条件は、様々な公務員関係法や勤務条件条例主義のもとにおかれ、不当に制約されている場合もあります。そのため、常に要求実現のため、政府や関係省庁と交渉し、議会に働きかけていく必要があります。そのほかにも、直接私たちの生活に関係する政治課題に対して、労働組合だけでなく、広範な世論を形成し、解決していく必要があります。そのために、私たちの変わりに、私たちの利益を代表し、発言する人として、組合推薦議員が必要となります。